東京都中野区S様邸　屋根工事　かわらU　撤去後ハイブリッド金属屋根材施工

施工前　セキスイかわらU（無石綿商材である事をメーカーに確認）

S様はかわらU施工店さんにメンテナンス相談の電話を掛けるも、既に廃業されてしまっていたとの事です。

かわらUは「とても繊細なメンテナンス技術」が必要な屋根材ですが、大別すると２種類に分けられます。

①販売開始～１９９０年８月製造分　「　石綿含有あり　」

②上記以降～２００７年販売終了まで　「　石綿使用無し　」

※私はどちらの製造品も工事経験があります。（年に約４０現場・使用を止めるまで１５年ほど、合計するとかわらUだけで５００現場を超えてました）

①に関しては「石綿含有」のため『表層部の剥離やひび割れ発生が極めて少ない状態なので石綿の飛散防止』の意味合いだけで判断すると「塗装工事」をお勧めする業者さんも多くいるようです。

とは言え重ね部を含め屋根全体を１ミリにも満たない塗膜層で永続的に飛散を抑える事はできないと私は思っています。

②に関しては写真の様に剥離やひび割れ発生が多く、経験のない人間では「踏み割れ」を誘発してしまい、基材上を歩行する事すらできないと思います。（セキスイは業界内で「石綿不使用」を率先して屋根材を製造販売しましたが、１９９０～２０００年代では「石綿」の代替えとなる強度保持力を「継続」発揮できる材料がなかったのですね。業界にカバー工法というお客様の費用負担を格段に低くできる工事方法を推奨したメーカーさんでしたが‥）　

この状態でも表面をコーキング処理すれば塗装工事は「可能」ですが、洗浄中に基材が割れ・塗装中に職人さんが乗るだけで基材が割れ…個人的には葺き替えの選択肢しかご提案できません。

工事中に驚いた事

実際に撤去時に撮影した内容をみて、とても残酷な事を言うと「こんな工事をする業者さんでは廃業していて当たり前」です。

かわらUの棟を外すと、固定下地木材の「幅・厚み」がバラバラ（セキスイでは施工にあたり使用材料の指定がありました）

ルーフィングは施工されているが、場所によって固定する「垂木」が取り付けられていない。

垂木は施工されているが「ルーフィングが施工されていない」或いは「ルーフィング・垂木共に施工が無い」

包み隠さずにS様にはお伝えしましたが、施工業者さんの「販売・施工・保証書発行のデータ」はセキスイでは確認できませんでした。

また、S様に施工途中の写真提出も無かったとの事です。

どの様な理由があったかは知り得ませんが、非常に残念ですが。（私は先輩と師匠に、隠れてしまう部分だからこそ手を抜かずに施工を行わないといけない。と教えられましたので）

施工中写真　リクシル　Tルーフ・モダン　（かわらUと同じ空気層断熱の屋根材）

私自身、時間があれば現場に長時間滞在します。（嫌がられない様に飲み物など準備して）

お客様が「工事中の職人に直接言いにくい事」を聞き伝える役目もありますが、販売メーカーさんの施工マニュアルに沿った施工方法を常に行っているかを目視で確認・撮影をするためでもあります。もちろん恥ずかしい工事を行っていないので、お客様にも写真は提出させて頂いています。

今回の施工日数は？

①足場設置解体　：　２日間（警察署への道路使用許可申請と停車に伴う誘導員配置あり）

②屋根工事　：　６日間（面積約１１０㎡）

屋根工事自体は合計８日間で終える事が出来ました。